はじめに
20歳になると日本に住んでいる全ての人が加入する国民年金について述べる。少子高齢化が進み、現在20代の人が年金を受け取ることができるのか、また、支払った分の元を取ることができるのかについて取り上げる。
現在の年金制度
日本年金機構によると、令和2年度の年金受給額は満額で月額65,141円となっている。令和3年度は昨年の0.1%減となる65,075円である。この金額は、年金納付期間に満額納めている場合であり、納付できていない期間がある場合は減額されて支給される。年金額は、毎年物価や賃金の動きに応じて見直される。現在の大学生が老齢年金を受給する時、老齢年金は現在と比べ減少すると考える。現在、日本は少子高齢化社会となっている。つまり、年金を受給する人が増える一方、年金を支払う人が減少してしまう。
令和3年度の納付額は月額16,610円となっている。老齢年金の受給には、繰り上げ受給と繰り下げ受給があり、受け取り期間によって受給する金額が異なる。受け取り期間による受給額の増減を表したのが、表1である。70歳まで繰り下げた場合、元を取る年齢は通常よりも遅くなるが、長生きすればするほど受給金額が増加する。
表1:受け取り期間別、年金支給額と元を取る年齢について[i](日本年金機構の数値を元に著者が作成)
年金を支払うことのメリット
年金を支払うことで、老齢年金をもらうことだけでなく、遺族年金や障害年金を受給する対象者となる。そのため、現在年金を支払うことで将来元を取ることができるかという問題を解決するのは複雑で難しい。しかし、年金を支払うことのメリットを知ることで、制度を有効活用することができる。
将来、年金の元を取ることができるか不安である人もいる。一方で、現在よりも年金の元を取ることが容易であると考える。医療技術が発展しているため、平均寿命も伸びると考えられる。厚生労働省[ii]によると、令和元年度の平均寿命は、男性で81.41年、女性で87.45年となっている。前年と比較すると、男性は0.03年、女性は0.13年上回っている。2000年から2008年の推移を見ると、どの年代も増加傾向にあることがわかる。これからも、医療技術がさらに進歩し、平均寿命が伸びていくと考えられる。
学生納付特例制度を使うべきか
20歳から年金を支払うことになるが、学生の場合、学生納付特例制度を使うことができる。これは免除ではなく、猶予であることが注意点である。10年以内であれば追納することができる。老齢年金の受給額を増やすためには、追納することが望ましい。
学生時代の収入が少ない時に自分自身で年金を納付するのはメリットが少ないと考えられる。親が支払うことで節税することができる。社会保険料控除により、所得税・住民税を減税することができる。同様に、学生が社会人となり、給料をもらい始めると税金を支払うことになる。給料が上がり始めたあたりで年金を支払うことで節税することができる。課税所得が約300万円の場合、所得税・住民税が最大約8万円軽減される。これは、所得税率10%、復興特別所得税額の2.1%、住民税を10%で計算した場合である。
最後に
保険料や保険金受給額は変化しているので、常にどの選択が正しいか見極めていく必要がある。また、公的保険だけでなく私的保険もあるため、適切なリスクを取り、退職した時に安心して生活することができるようにする。国民年金だけでなく、様々な保険についても学習することを今後の課題とする。
参考文献
- 令和3年度4月分からの年金額等について|日本年金機構
(最終閲覧日:2021年5月4日)
- 年金Q&A | 日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/faq/kokunen/seido/hokenryo/20150331.html (最終閲覧日:2021年5月4日)
- 国民年金保険料の学生納付特例制度|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html (最終閲覧日:2021年5月4日)
- 厚生労働全般|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/10-2/kousei-data/PDF/22010102.pdf
(最終閲覧日:2021年5月17日)
[i] 年金の繰上げ・繰下げ受給|日本年金機構
(最終閲覧日:2021年5月4日)
[ii] 令和元年簡易生命表の概略|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-02.pdf
(最終閲覧日:2021年5月17日)
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